遊行記

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インド ラージギールにて

ラージギールは仏典に出てくる王舎城だ。カビくさい安宿のベッドに荷物を置くと外に出た。 この町は埃っぽかった。 認識されるもの、すべてが埃をかぶっていた。 十字路の角のチャイ屋の前で、プラスチックの椅子に座った。 老人は何も言わず、しかめ面の...
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インド ラージギールへ

荷物と一緒にバスの屋根によじ登った。 屋根の上にいる私を振り落とそうとするようにバスは急発進した。 私は凍り付くような風にこわばった指で、荷台の冷たい鉄パイプを握り続けていた。 私は何度かインドに来て、この路線を走るバスに六度乗った。 道は...
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インド ヴァラナシにて 4

私は、その日もガンガーのガートに座っていた。 ガートとは川岸に設置されている階段のことで、洗濯や沐浴の場となっている。 河は、昨日と同じように流れていた。 おばさんたちが、隣のガートで洗濯している。色鮮やかな原色のサリーが眩しい。 そのガー...
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インド ヴァラナシにて 3

視界の隅に人影が映った。 振り返ると同時に、異形の男が飛びかかってきた。 見開いた眼球は、鮮やかな動脈血であふれている。眼球が血の色に腫れ上がり、今にもこぼれ落ちそうだ。 盲目の男は私の肩口にしがみついて、唾を飛ばしながら叫んでいる!「バク...
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インド ヴァラナシにて 2

祠の横に座っていた男と目があった。瞳孔が開きっぱなしの黄ばんだ眼球。 男は立ち上がった。 妙に痩せているのは覚醒剤かヘロインか。 男がひょこひょこと歩いてきた。ここの住民の大半は不健康に見える。 男は小汚い顔を容赦なく近づけた。男の顔が近す...
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インド ヴァラナシにて 1

南へ向かってきたガンジス河の流れが、ヴァラナシでは北へ向かっていく。 インドの人々は、単純に大地の高低からこのようなことが起こっているとは考えなかった。 ここにはただならぬ神の力が働いており、ここで死ぬ者は解脱するといわれている。 ヴァラナ...
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インド サンチーにて

私はバスに揺られていた。 バスといっても、バンを少しだけ大きくしたような大きさの古いバスだ。 キズとほこりで曇った窓の外には、かわり映えしないインドの風景がぼんやりと続いている。 代わり映えしない交差点でバスが止まった。 小雨の中、降ろされ...
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インド ブッダガヤーにて 2

普段、三千人しかいない村にダライラマ法王からカーラチャクラの灌頂を受けるために世界中から三万人が集まった。 この時のカーラチャクラの大灌頂は、もっとも歴史のある転生活仏であるカルマパと、ニンマ派の法王ペノール・リンポチェも共に受けられたので...
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インド ブッダガヤーにて 1

暗闇の中、無機質な夜行列車に揺られて、ガヤー駅に到着した。 闇夜だった。 暗いうちに移動するのは危険だ。 夜明けまで待たなければならない。 待合のスペースは、多くのインド人と二頭の野良牛で埋め尽くされていた。 隙間を見つけ、バックパックを枕...
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インド タージマハールにて

静寂の暗闇の中、月明かりを浴びて、淡く白光を放つ巨大な墓。 タージマハールは霧に包まれ、幻想的な情景を構成していた。 写真では何度も目にしていたが、実物は写真とは違う。 目の前の白い墓は、写真には写らない不気味な静寂に満ちていた。 王は死ん...