遊行記

India

インド アグラーにて

夜明け前の駅前でリクシャーに乗った。 険しい顔の老人は何も言わずにペダルを踏み込んだ。 ぽつり、ぽつりと灯る街灯が、電柱の周りだけを黄色く照らしている。 わずかな灯りに小さな羽虫が群がっていた。 街灯から少し離れるとすぐに暗闇だ。 真っ黒な...
Indonesia

インドネシア ボルブドゥールにて

夜明け前、ボルブドゥールの石段を登った。 この遺跡は世界三大仏教遺跡の中で、唯一の密教遺跡だ。 回廊をまわり、少しずつ上に登って行く。 回廊には、釈迦如来の生涯と華厳経の入法界品に説かれている善財童子の物語が浮き彫りにされている。 善哉童子...
Indonesia

インドネシア バリにて 4

チベット文化圏に残る曼荼羅は円形が多いのに対し、日本密教の曼荼羅は方形が多く伝承されている。 それでも、円形、方形のいずれの曼荼羅も周囲は縁で覆われている。 それは多くの場合、曼荼羅は全宇宙を構造的に示しているからである。 ところがバリ島の...
Indonesia

インドネシア バリにて 3

バリの田は、今まで見たどこの田よりも美しかった。 なだらかな起伏に段々に設けられた田のところどころに椰子が生えている。 機械で植えられた日本の田のように均一な平面ではなく、表面に微妙なやわらかさがある。 同じ手植えでも、ネパールの田とも違う...
Indonesia

インドネシア バリにて 2

ウブドは芸術の村である。「ジャングルに行けば、いつでも果物があり、河に行けば、いつでも魚がいるから、食べ物のためにあくせく働く必要がなかった。村中みんなが、暇つぶしに絵を描いたりしていたんだよ」 雨宿りのために偶然、入り込んだ画廊の主人は話...
Indonesia

インドネシア バリにて 1

バリはテーマパークのように観光化された島だ。 めぼしい宗教施設や行事はほとんど観光化されていて、外国人観光客から外貨を得るためのショーになっている。 南国らしい巨大な葉の上に、焼き豚と米をのせた料理を出す地元の食堂で、向いに座っていたマデさ...
Laos

ラオス ルアンパバーンにて 2

真上に昇ったルアンパパンの太陽の日差しはオゾンホールのそれと同じくらい厳しかった。 宿の一階にはプラスチックのテーブルとイスが並び、食事できるようになっていた。 注文を取りに来た女の子が、申し訳なさそうに停電なので扇風機が使えないことを私に...
Laos

ラオス ルアンパバーンにて 1

西の空がまだ暗い時間に私は、外に出た。 オレンジ色の衣を着た僧侶のとてつもなく長い行列が、いつか見た夢のようでまるで現実味のない朝だった。 ここルアンパパンはラオスの小さな田舎町だが、町全体が世界遺産に登録されている珍しいところだ。  私は...
Myanmar

ミヤンマー チェントンにて

ミヤンマー北部にチェントンという外国人に対しては非解放となっていた小さな町がある。 チェントン出身の友人から何度も「チェントンはいいところだから一緒に行こう」と誘われていたのだが、私はチェントンに行くことにずっと躊躇していた。実際に言った人...
Myanmar

ミヤンマー チャイティヨーパゴダにて

世界は、霧で覆われていた。 霧の中にうっすらと寺院が見える。 境内に入る前に、蓮の花と、線香と、ろうそくとを買った。 山の上は高台になっており、大理石で舗装されていた。 霧の中に、仏塔が見える。 崖にせりだした大岩の端にちょこんと乗っている...