2019-05

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インド ポンディシュリーにて 1

ごつごつした大きな岩に波の塊が激しく砕け散った。岩はビクともしないが、波は繰り返しぶつかっていく。 飛び散る波しぶきが、時折コーヒーカップの中にまで飛んでくる。 カフェは、大きな黒い岩がごろごろと転がる波打ち際に一軒だけ、ぽつんと建っていた...
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インド マハーバリプラムにて 2

海岸寺院のすぐ横の地面に彫られたヨーニ(女神の女陰)を覗いた瞬間、この小さな寺院が巨大な隠喩の集合体に違いないと直感された。 ヨーニの直径は一メートル半位、深さは八十センチ位ある。 この内側にさらに小さなヨーニとリンガ(シヴァ神としての男根...
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インド マハーバリプラムにて 1

私は南インドを放浪している間、たびたび人気のない砂浜で瞑想した。 波の音は不規則なので海辺は瞑想に向かないと言う人がいるが、しばらく座っていれば波の音などまったく気にならなくなる。 むしろ、日本の行者は役行者や弘法大師の昔から、渓流や海岸の...
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インド カルカッタにて 2

カルカッタの博物館は、死と退廃に満ちていた。 大量の虫の標本は、劣悪な保存状態のため変色し、薄い羽が破れ落ちたりしている。標本と言うよりも、ガラスケースに虫の死骸を並べたといったほうがふさわしい。 インドでは、日本よりも命が格段に軽く扱われ...
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インド カルカッタにて 1

私はその日、マザーテレサが設立された「死を待つ人の家」にいた。 リーダーが、今朝集まったボランティアたちに仕事を振り分ける。 リーダーはドイツ人だったが、ドイツ人はリーダー一人だった。 十六人いたボランティアの半分は日本人だ。 私は、毛布洗...
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インド 霊鷲山にて

霊鷲山は小さな山だった。 岩石が屹立した山頂部分が鷲に似ているから、霊鷲山といわれたとも、鷲がたくさんいた山だから、そう呼ばれたともいわれている。 灌木がとりまく、岩がごつごつと剥き出した乾いた道を、私は歩いていた。 小さな洞窟が、参道にい...
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インド ラージギールにて

ラージギールは仏典に出てくる王舎城だ。カビくさい安宿のベッドに荷物を置くと外に出た。 この町は埃っぽかった。 認識されるもの、すべてが埃をかぶっていた。 十字路の角のチャイ屋の前で、プラスチックの椅子に座った。 老人は何も言わず、しかめ面の...
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インド ラージギールへ

荷物と一緒にバスの屋根によじ登った。 屋根の上にいる私を振り落とそうとするようにバスは急発進した。 私は凍り付くような風にこわばった指で、荷台の冷たい鉄パイプを握り続けていた。 私は何度かインドに来て、この路線を走るバスに六度乗った。 道は...
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インド ヴァラナシにて 4

私は、その日もガンガーのガートに座っていた。 ガートとは川岸に設置されている階段のことで、洗濯や沐浴の場となっている。 河は、昨日と同じように流れていた。 おばさんたちが、隣のガートで洗濯している。色鮮やかな原色のサリーが眩しい。 そのガー...
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インド ヴァラナシにて 3

視界の隅に人影が映った。 振り返ると同時に、異形の男が飛びかかってきた。 見開いた眼球は、鮮やかな動脈血であふれている。眼球が血の色に腫れ上がり、今にもこぼれ落ちそうだ。 盲目の男は私の肩口にしがみついて、唾を飛ばしながら叫んでいる!「バク...