2019-05

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インド ヴァラナシにて 2

祠の横に座っていた男と目があった。瞳孔が開きっぱなしの黄ばんだ眼球。 男は立ち上がった。 妙に痩せているのは覚醒剤かヘロインか。 男がひょこひょこと歩いてきた。ここの住民の大半は不健康に見える。 男は小汚い顔を容赦なく近づけた。男の顔が近す...
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インド ヴァラナシにて 1

南へ向かってきたガンジス河の流れが、ヴァラナシでは北へ向かっていく。 インドの人々は、単純に大地の高低からこのようなことが起こっているとは考えなかった。 ここにはただならぬ神の力が働いており、ここで死ぬ者は解脱するといわれている。 ヴァラナ...
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インド サンチーにて

私はバスに揺られていた。 バスといっても、バンを少しだけ大きくしたような大きさの古いバスだ。 キズとほこりで曇った窓の外には、かわり映えしないインドの風景がぼんやりと続いている。 代わり映えしない交差点でバスが止まった。 小雨の中、降ろされ...
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インド ブッダガヤーにて 2

普段、三千人しかいない村にダライラマ法王からカーラチャクラの灌頂を受けるために世界中から三万人が集まった。 この時のカーラチャクラの大灌頂は、もっとも歴史のある転生活仏であるカルマパと、ニンマ派の法王ペノール・リンポチェも共に受けられたので...
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インド ブッダガヤーにて 1

暗闇の中、無機質な夜行列車に揺られて、ガヤー駅に到着した。 闇夜だった。 暗いうちに移動するのは危険だ。 夜明けまで待たなければならない。 待合のスペースは、多くのインド人と二頭の野良牛で埋め尽くされていた。 隙間を見つけ、バックパックを枕...
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インド タージマハールにて

静寂の暗闇の中、月明かりを浴びて、淡く白光を放つ巨大な墓。 タージマハールは霧に包まれ、幻想的な情景を構成していた。 写真では何度も目にしていたが、実物は写真とは違う。 目の前の白い墓は、写真には写らない不気味な静寂に満ちていた。 王は死ん...
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インド アグラーにて

夜明け前の駅前でリクシャーに乗った。 険しい顔の老人は何も言わずにペダルを踏み込んだ。 ぽつり、ぽつりと灯る街灯が、電柱の周りだけを黄色く照らしている。 わずかな灯りに小さな羽虫が群がっていた。 街灯から少し離れるとすぐに暗闇だ。 真っ黒な...
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インドネシア ボルブドゥールにて

夜明け前、ボルブドゥールの石段を登った。 この遺跡は世界三大仏教遺跡の中で、唯一の密教遺跡だ。 回廊をまわり、少しずつ上に登って行く。 回廊には、釈迦如来の生涯と華厳経の入法界品に説かれている善財童子の物語が浮き彫りにされている。 善哉童子...
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インドネシア バリにて 4

チベット文化圏に残る曼荼羅は円形が多いのに対し、日本密教の曼荼羅は方形が多く伝承されている。 それでも、円形、方形のいずれの曼荼羅も周囲は縁で覆われている。 それは多くの場合、曼荼羅は全宇宙を構造的に示しているからである。 ところがバリ島の...
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インドネシア バリにて 3

バリの田は、今まで見たどこの田よりも美しかった。 なだらかな起伏に段々に設けられた田のところどころに椰子が生えている。 機械で植えられた日本の田のように均一な平面ではなく、表面に微妙なやわらかさがある。 同じ手植えでも、ネパールの田とも違う...